公開日:2022/06/03
カテゴリー:AKIRA新聞
皆さんはじめまして!
株式会社アキラ所沢営業所に4月より入社いたしました山中と申します。
現在、仕事を覚える傍ら「宅建」の勉強中。
正直大変ですが、日々頑張っております!
今月からアキラ新聞の記事を書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回書かせていただくのは、今年4月19日にあった
「相続マンションの評価見直し、最高裁判決」についてです。
伝家の宝刀とは?
新聞にも載っていたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが
簡単に説明すると
①2009年、父親が13億8700万円でマンションを購入(借入金有)。
②2012年、父親が亡くなり子供たちがマンションを相続。
その際、路線価をもとに3億3000万円と評価。
購入時の借入金を差し引き相続税を0円と申告。
③それに対し国税庁は、やりすぎた節税対策だと判断。
財産評価通達の総則6項(伝家の宝刀)を使い、12億7300万の評価を下し
約3億3000万円の追徴課税を払うよう通達。
④相続人側は追徴課税の取り消しを求めて裁判を起こすが「伝家の宝刀」が認められ
国税局側の勝訴という形で終わった。
という感じです。伝わりましたでしょうか?
自分はこの記事を最初読んだとき、意味がさっぱり分からず、
理解するまでにだいぶ時間がかかりました(笑)
そもそも「伝家の宝刀」ってどういうものなのでしょう?
今回のように路線価と実勢価格(時価)のかい離を利用した節税策は「タワマン節税」と呼ばれ、多くの富裕層が相続税対策に活用してきました。
タワマン節税についてはこちら→タワーマンション節税の仕組み
しかし近年、国税庁では積極的にこれらの税務処理を否認し追徴課税を行っています。
相続財産の評価方法について、実勢価格が路線価による評価額と大きく乖離する場合は再評価できる、とする例外規定を設けています。
これが、財産評価基本通達6項、国税庁の「伝家の宝刀」と呼ばれるものです。
しかしこの伝家の宝刀、適用基準が曖昧との指摘も。。。
裁判の争点
今回の裁判で問題となったのは
一般的な相続財産の評価をしたにも関わらず、それが認められないというのは不当では?
という点です。
今回のように、相続財産の評価の際に路線価図をつかうのは一般的な方法です。
相続する立場からすれば
「ルールに従って申告したのに、例外規定(伝家の宝刀)で後から評価額がひっくり返されるのであれば、一体どうすればよいのか?」と、思ってしまいますよね?
しかし今回の場合、
節税以外の目的が見当たらない マンション購入であった
と裁判では判断されました。
そう判断されたポイントはいくつかあります。
◎高齢の父親が13億8700万円で買ったこと
被相続人が高額賃貸マンション2棟を取得したのは90歳~91歳と高齢であり、節税目的の購入とみなされた。また、被相続人は次男の長男(孫)と養子縁組を行い相続人を増やしていた
◎相続をしてから1年以内にマンションを譲渡したこと
相続開始の9カ月後に、5.5億円で購入した高額賃貸マンション1棟を5億1500万円で売却した
◎相続人らが近い将来の相続で税負担を減らすものだと知っていたこと
銀行から融資を受ける際の貸出稟議書などに「相続税対策のための不動産購入」と記載されていた。
などが判決に大きく影響しました。
今回の事例では、相続税の負担軽減を意図して不動産の購入や資金の借り入れが行われ、それを相続人も理解しており、実際に相続税額がゼロになったことなどを指摘。
取得価格と評価額の乖離も4倍ほどだったため、「路線価による評価は適当ではない」と国税庁が追徴課税を求めたのも仕方ないかな?と思える例です。
しかし、伝家の宝刀(例外規定)の適用基準がはっきりしていないので、原告側が不当として訴えたのも理解できます。
国税庁は「著しく不適当」と認定できるケースに限り「国税庁長官の指示を受けて評価する」と規定していますが、、、
今回の判決は評価ルールの基準を定義したとは言えませんし、逆に納税者が納税額を予見できないという問題が残る判決となりました。
相続直前になってからの不動産取得や養子縁組は下手な勘繰りを受けてしまいますので、相続税に限らず、税金に関する対策は早めに予見して行うのが良いのではないでしょうか。
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